子どもが不登校になってから、不登校に関わる本を色々読んできました。不登校に関わる本、関わらない本。少しずつ、紹介をしていけたら・・・ (管理人 H)

 

 

えりなの青い空」  あさのあつこ作 文春文庫

 

 小説の主人公えりなは小学5年生女子。空が好きで、晴れた日には学校の芝生に新聞紙を敷いて寝ころび、空を見上げている。お母さんやクラスの男子から「寝転がるなんてへん」と言われても、気にしない。

 

学級委員の鈴原さんは何でもできる優等生。鈴原さんが不登校になってしまい・・・・。

 

えりなの自然な行動、言葉に、読んでいてかたくなっていた心が、やわらかくなっていくのを感じられる作品。子どものやわらかい心にふれたような感覚。大人だって、むかし、子どもだったことを思い出して、空をみてみたい。

 

「卒業」 重松清 作 新潮社

 

ゆるやかで淡いつながりを持った4編の連作小説集。4編はいずれも「ゆるす・ゆるされる」の構図を持っていた。(あとがきより)

1編めの「まゆみのマーチ」には号泣してしまった。
他の短編も、泣いてしまったが・・・。

まゆみのマーチで描かれている「学校」
歌が好きなまゆみの口に、マスクをして、歌えなくしてしまった、苦しめてしまった、その事の本質的な意味に気づけない先生。

「今でも、学校が好き」というまゆみに、学校まで3ケ月以上毎日まゆみといっしょに歩いた、母。「まゆみのマーチ」を歌いながら。そして、まゆみは元通り学校に通えるようになった。しかし、それから先も、まゆみは学校や世の中となかなかうまくやっていけず、苦労をしたが・・・・。

「子どもの気持ちに寄り添う」とは・・・。色んなことを感じた。

重松清はなぜ、家族の関係、思い、人間の感情・・・・ やさしく物語れるのだろう。


ありのままでいいんだよ 広木克之編  北水

 

「不登校の子を持つ親」の方の手記を広木克之さんが編集した本です。

1年ほど前、図書館で読んだのですが、その時は、まだ「私の不安」でいっぱいいっぱいで、この本にある、手記の一つ、一つを読むことが苦しくて、息が詰まる思いでした。

あれから、1年。やっと、「子どもの現実を受け入れ、子どもと一緒に歩んでいける親になっていけたら。」心からそう思えるようになってきた(現実の私の姿は、まだまだ、悪戦苦闘中)読み返してみると、一つ一つの手記、広木さんの言葉が心にしみこんできます。

序章の最後の方で、広木さんは次のように書かれています。
「それら(手記)は決して完成した成功物語などではありません。それらはみな現代社会の歪みを背負わされて佇む子どもと親達が、その社会の歪みと闘いながら人間として生きることができる場を、家庭と地域の中に創り出す現在進行形の格闘の姿」

一つ一つの手記が、心を揺さぶり、様々なことを問いかけてくれます。特に、最後の手記は2000年におきた、17歳の少年による、佐賀のバスジャック事件で、大切な友人を亡くし、自らも重症を負った方の手記は、現在のいじめ問題に対する加害児童への厳罰化のみに向かってしまうかのような風潮を考え直す、重い問いかけではないかと・・・改めて、社会が大人が、そして私自身が問われているように感じています。

不登校でも子は育つ ~母親たち10年の証明~ 親子支援ネットワークあんだんて 学びリンク


我が子の不登校を経験したお母さん達が作った本です。

第1章 不登校の子ども達の成長

第2章 不登校から元気回復までの段階

第3章 中学卒業後の進路を考える

第4章 社会人となった3人の不登校・進学・就職


まえがきより

「目に見えない何か」を信じて子どもの育ちを見守ることは、一人ではとても難しい。

 でも、子どもの内面の小さな成長を誰かが見つけて教えてくれたら、苦しんでいるお母さんも安心できる。

 不登校の親子を支援し続けた10年が、親子が元気になるために必要なものを教えてくれました。


いつでもあなたを愛している 学校へ行かないあなたへ  石井幸子   北水


漫画家の著者が、ご自信の体験や親の会などを通じて出会った、不登校の子を持つ父と母の葛藤と変化を漫画で表現しています。

共感することばかりで、何度読んでも、涙が流れ、心が優しくなれます。



14歳   千原ジュニア  講談社

お笑いコンビ「千原兄弟」の弟が書いた作品

当事者だからこそ書けた文章なんだろうと感じました。14歳の少年の思いを前に、何と親の思いを表現したらよいのか、今は、書くことができませんが、多くの14歳を過ぎた大人に読んでいただけたらと思いました。